食品工場内で発生する様々な危険物の中でも特に警戒しなければならないのは細菌とウイルスです。スタッフの髪の毛や虫などの異物が混入しただけでも写真や動画がインターネットで拡散され消費者が離れてしまいます。異物が混入して具体的な健康被害がなければ、長い時間とコストをかけて信頼を回復することは可能です。しかし温度管理などの安全対策を怠って食中毒が発生すると、企業の存続自体が難しくなることがあります。
安定した事業運営を行うためには宣伝広告でイメージアップを図るよりも、製品の品質を向上させなければなりません。製品の品質を向上させるには工場内の温度管理を徹底するのが基本です。危険な細菌やウイルスは気温や湿度の変化に伴って増殖します。前者は気温や湿度が高くなるほど、後者は低くなるほど増殖する傾向があります。
夏だけでなく冬にもノロウイルスなどを原因とする食中毒が起きているので、年間を通して工場内の温度管理を徹底しなければなりません。気温や湿度の管理を適切に行なった上で様々な危険物について個別の対策を講じることが大切です。細菌の中には黄色ブドウ球菌のような熱に強い毒素を生み出すものも存在します。基本的に細菌やウイルスは熱に弱いため、適切な加熱処理によって被害を防ぐことが可能です。
しかし温度管理や加熱処理を行っても黄色ブドウ球菌による毒素や化学物質、異物などが混入する場合があります。製品の安全を守るには工場内の清掃や機械・器具の洗浄、清潔なユニフォームや靴の着用など様々な対策が必要です。温度管理や加熱処理を行いつつ個別の危険物について安全対策を講じれば、製品の品質が高まり被害を防ぐことができます。